カテゴリー別アーカイブ: 社会/政治/文化/哲学

2017年3月の神保町

神保町は東京の中でもかなり好きな街です。

ここに初めて来たのは大学生の頃で、熊本在住ながらなぜか2ヶ月に1度くらいは来ていました。JANISの会員証も持っていたほどです。

その頃(すでに神保町のピークは過ぎていたのではないかと思いますが)と比べても、今は古本屋の店舗数はおそらく半分くらいにはなっているんじゃないでしょうか。

僕も最近は訪れる回数もめっきり減り、年1回来るかどうかといったところです。御茶ノ水の楽器屋をはしごしながら神保町に出るのがお決まりのコースなのですが、今回交差点に出てみて驚いたのは、風景が全く変わっていることです。

2017/03/04 神保町
PENTAX K-1 | smc-PENTAX FA43mm F1.9

以前の神保町しか知らない人には、この写真が神保町だとは気づかないのではないでしょうか? ドンキホーテがあるのはヴィクトリアゴルフ館のあった場所、ABCマートがあるのは書泉ブックマートがあった場所です。

神保町に来る時にはだいたい何か目当てのジャンルがあります。前回はドイツ語の辞書を探しに来たのですが、今回のメインは中央公論社の「世界の名著」です。「世界の名著」は海外の著書をこのシリーズのために完訳/抄訳し、さらにそれを訳者が解説する、という全集で全81巻です。とっくに絶版になっているのですが古本ではかなり出回っており僕は6冊だけ持っています。これを全巻セットで購入するかどうかを考えていて、いくらぐらいなのかと状態がどうなのかを見に来たのです。いずれにしても持って帰れる量ではないので購入するとしてもまた後日なのですが。

2017/03/04 神保町
PENTAX K-1 | smc-PENTAX FA43mm F1.9

世界の名著は、70年代に出ていたハードカバー版と、10年くらい前まで売られていたペーパーバッグ版があり、購入するなら電車の中で読みやすいペーパーバッグ版を、と思っていたのですが、今日あちこちで見たところ、古いハードカバー版の方がむしろ状態は良く、ペーパーバッグ版は紙が焼けてて読みにくい感じでした。ケースの有無もあるでしょうが、使われてる紙の品質が大きいのではないかと思います。そういえばうちにある新品で買ったペーパーバッグ版もかなり紙色が変色しています。そういうわけで、買うならハードカバー版の方がよいように思いました。しかしハードカバー版はかさばるので、81冊も自宅に置くのは困難。どうするか現在悩み中です。

金額的にはどの店でも全巻で8万前後が神保町の相場のようです。ネット通販やヤフオクだと4~5万であるので割高ですが、場所代もあるのでこんなもんでしょうか。バラは300円~1000円と状態や品数によって違うんですが、セットじゃないと入手困難な巻もあるので、バラで買うなら揃えるのはあきらめるしかないかな。世界の名著の調査はそんな感じ。

今日は昼過ぎに出かけたので着いたのは1時半ごろ。ぶらぶらと店を回りながらお腹が空いてきたのでどこかに入ろうかと思ったのですが、どこも行列。

2017/03/04 神保町
PENTAX K-1 | smc-PENTAX FA43mm F1.9

神保町はカレー屋と喫茶店がとても多いですが、すぐに入れそうな店はラーメン屋くらいしか見つかりませんでした。いつも思うのですが、さぼうるってなんでいつも行列なんでしょうか? 元は駅から近いけど地味な裏通りなので隠れ家的に利用できて便利、という店だったんじゃないかと思うのですが、あんなに行列になるとわざわざ行く理由がないのですが。

仕方なく空腹のまま古本屋の巡回をつづけ、15時すぎにやっと行列が減ってきたカレー屋ボンディでビーフカレー辛口大盛りを注文しました。ちょっと高めだし、行列が少ないといっても10人待ちくらい並んだのですが、味は美味しいので満足です。

2017/03/04 神保町
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満腹になったところで、2巡目に入ります。

1巡目に気になった本を見直しながら、何冊か選んで買っていきます。だいたい1巡目に欲しいと思った本は2巡目には興味が薄れていて、1巡目に気づかなかった本が2巡目に見つかる、というのが多いです。

2017/03/04 神保町
PENTAX K-1 | smc-PENTAX FA43mm F1.9

いつも欲しい本は10冊くらい出てくるのですが、買うのは5冊くらいに留めています。後からでも入手できそうなものや、すぐには読まなさそうなものは外していきます。

で、今日の戦利品はこんな感じです。全2100円。安い!

2017/03/04 御茶ノ水
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「やりたいことをやる」のは責任なのか?

ネット上で、

人が取るべき責任ある行動はただひとつ。自分が心からしたいことをすることである。

というマイク・マクマナスさんという人の言葉が流れてきた。俺はこの人を知らないし、その本意はよくわからないけれども、この言葉を好きな人やこの言葉を使う人の心理は良くわかる。こういう「自己啓発的な言葉」は今となっては「自分を鍛えるためのツール」ではなく「反省せずに自己正当化するためのツール」に成り下がっている。

だから俺はこれに反論する。

人が「やります」と断言してたことを、あとで「やっぱりやりたくなくなったのでやめます」と中止した時、それは責任ある行動だと言えるだろうか?

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カテゴリ: 思索, 社会/政治/文化/哲学 日付:

2013参院選雑感、そして安全保障についてちょっとだけ語る

参院選が終わった。

多分今頃開票速報をやっているのだと思うけど見ていない。

投票日の夜はいつも憂鬱になる。選挙で勝った経験など一度もない。投票した人が当選したことは何度もあるけれど。

選挙で誰に投票するかを選ぶ方法は2種類。「自分の考えに一番近い人」に投票するか、「当落線上にいる人のうち一番マシだと思える人」に投票するか。前者が本来の理想的な選択方法だと思うが、現在の選挙で党員かよほどの信者じゃない限りそんなことはなく、ほぼ後者の方法で選ばれているのではないだろうか。

そういう俺も後者で選んだ。しかし「当落線上にいる人のうち一番マシだと思える人」が当選したとしてもそれは自分にとっての勝利ではない。では「自分の考えに一番近い人」に投票してその人が当選したら勝利なのか。それはそうなのかもしれない。だけれども、そもそもどの候補者も自分の考えからほど遠い。自分の考えを代弁する候補者なんていない。だから必ず選挙では敗北するしかない。

おそらくこれから酷い時代になるだろう。原発も止まらないし、憲法も改正されるだろう。国防軍が設置され、軍法会議が全ての法律に例外事項を上書きするだろう。その戦争に賛成か反対かにかかわらず、戦争に踏み切った途端に個人の自由が剥奪される。一度そうなった未来を想像してみよう。ほんとうに酷い時代だ。

その未来に加担した責任は負わなければならない。どうせ負うなら明るい未来が良い。戦争はいらない。国防軍を設置することで平和が維持されるなんていうのは間違っている。戦争はキッカケで起きる。国防軍の設置はキッカケだ。国防軍の有無や平和憲法の有無が問題じゃない。ない国防軍を作ることが緊張を生み、戦争の可能性を広げる。戦争は起きてしまったら勝っても負けても大変なことになる。戦争を予防することが重要だ。戦争を予防するにはキッカケを作らないことだ。だからない国防軍は作らないほうがいい。

そもそも「日本がアメリカに守ってもらっている」という安保概念が間違っている。地政学的には逆だ。日本がアメリカを守ってる。アメリカの口車に乗ってはいけない。国防軍を作ってもアメリカの防波堤になるだけだ。日本の税金と日本の人権をすり減らしてアメリカを守る必要なんてない。日本に危機があるとしたら、それは北朝鮮が攻めてくる時じゃない。アメリカが他国に余計なちょっかいを出す時だ。今はまだその矛先が中東だからあまり影響がないが、矛先が東アジアになったら厄介だ。その時はアメリカの味方をしているという理由で日本が攻撃対象になる可能性が高くなる。その時はもう知らんぷりした方がいい。下手に国防軍があるとアメリカ陣営の最前線に組み込まれてしまう。それよりも「日本には軍隊ありませんのでw」と言ってスルーできた方がいい。だから憲法9条はあった方がいい。たとえ建前でも。

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『クリトン』プラトン

ソクラテスの弁明―エウチュプロン,クリトン (角川文庫)
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はじめに

『クリトン』は、角川文庫の『弁明』に収録されているのですが、実は一年前に読んでその時にメモを残したまま放置していました。

今さら読みなおすのも何なので、以下その時のメモをそのまま掲載します。あまりまとまってないように思いますが…。

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『プロタゴラス』プラトン

プロタゴラス―ソフィストたち (岩波文庫)
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はじめに

ソクラテスとソフィストとの対話を読みたい、と思い『プロタゴラス』か『ゴルギアス』どちらにするか迷ったのですが、論客の知名度から言ってプロタゴラスだろうということでこちらにしました。

が、結論から言うとこの著作、ドキュメンタリーとしては良作ですが哲学としては物足りないです。結局『ゴルギアス』も読み始めました。プラトン哲学をちゃんと読みたいのであればそちらの方が面白いと思います。

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プロタゴラス断片

はじめに

プラトン著『プロタゴラス』の前に、ソクラテス以前の哲学者 (講談社学術文庫)のプロタゴラスの章を読んでみます。

ソクラテス以前の哲学者 (講談社学術文庫)
廣川 洋一
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プロタゴラスはソフィストの中心人物ということもありかなり有名な人物で著作も多数ある(あった)わけですが、残念ながら現存する著作物は一つもなく、ここに全文書ける程度の断片しか残っていないようです。

すぐ後の時代には体系家で収集家のアリストテレスがいるわけですが、彼の収集対象にはプロタゴラスは入っていなかったようです。もちろんアリストテレスがプロタゴラスを知らなかったわけはないですし、その頃にすでに著作が失なわれていたとも考えられません。プロタゴラスを始めとするソフィストらはソクラテスやプラトンとは対立関係にあったわけで、そのためアリストテレスやその系列の学者によって故意に葬り去られたか、そうでなくても彼らの保管対象から外されたことで消失してしまったのではないか、と思わずにはいられません。

そのプロタゴラスの断片を2つ。

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『ソクラテスの弁明』プラトン

はじめに

ソクラテスの弁明―エウチュプロン,クリトン (角川文庫)
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いよいよ本題の「ソクラテスの弁明」に入ります。

実はこのブログを書くにあたって何度か通して読んでみたんですが、正直言ってわかるようなわからないような印象でした。というのもここで書かれていることはあまり難しいことではないので理解するのは容易なんですが、現代に暮す俺がこの書物から読み取るべきものがそれで必要十分なのかがよくわからないのです。数千年読まれつづけたものにはもっと恐るべき思想が隠されているのではないか?という過度が期待があったのかもしれません。

そういうわけで、読み残しがないことを確認するために、無謀にも全文要約してみました。要約したから全部理解してる、とは言いません。ただ、要約するために全文章を熟読したのは間違いありません。

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『エウチュプロン』プラトン

はじめに

ソクラテスの弁明―エウチュプロン,クリトン (角川文庫)
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前回からだいぶ間があいたのですが、その間何をしていたのかというと、『ソクラテスの弁明』と格闘していたのです。

この本は、たしか高校時代に買ったものです。なので今でも同じ版で売られているのかどうかわかりません。高校生当時これをどう読んだのか、今となってはサッパリ覚えていないのですが、今回はこれを合計6回通読しました。そんなに難しい本なのかというと、実はそんなことありません。文章は平易で難解な表現は特にありませんので、一度読めばだいたい言わんとすることはわかります。ではなぜ何度も読んだのかというと…なぜなんでしょう? 簡単に言うと「一度読んだだけでは手応えがなかったから」もっと言えば「古代ギリシアの哲学には時間をかけたかったから」という感じでしょうか。

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『パルメニデス』 プラトン

はじめに

プラトン全集〈4〉パルメニデス ピレボス
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プラトン中期のそれも後の方に書かれた著作です。なので、登場するソクラテスはすでにソクラテスではなく、プラトンのイデア論を語るために用意された架空のキャラクターです。また、パルメニデスやゼノンとの対話形式になっていますがそれらの会話もすべてフィクションであると考えるべきでしょう。

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ピロラオス断片

まだ、この本を読んでいます。

ソクラテス以前の哲学者 (講談社学術文庫)
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ヘラクレイトスからさらに時代をさかのぼり、この本に所収されている断片集を最初から読んでみることにしました。そして行き当ったのがピロラオス。これは面白い。簡単に言うならば「お前の言ってることわけわかんねー、でもオモシロイね」という感じです。

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