本読んだ一日

今日は休みでした。
当初は次回展覧会のための絵を描く予定だったのですが、朝起きてみたらそういう気分でもなく、結果的には一日中本を読んでいました。30冊の未読本がたまっているのをどうにかしようと思っていたのですが、ちょっとは減りました。では今日読んだ本を紹介。

「現代思想の使い方」
高田明典 著 / 秀和システム


なぜに秀和システムがこんな本を出しているのか謎ですが、現代思想の入門書です。現代思想の入門書は数多く出ているし、これまでにもいろいろ読んだので今さら感はあるのですが、この本は各思想家の思想の概略をまとめたものではなく、日常直面する様々な問題を通して各思想家を解説するというちょっと変わった手法をとっているので面白そうと思い半年くらい前に買ったものです。たとえば「空気を読めないヤツ、と言われたとき」とか「世の中マチガッテル、と感じたとき」などの問題を提出し、それに対する解決策をゴフマンやマルクスといった使って提示しており、入りやすいという意味ではなかなか面白い試みだと思いました。ただ、これは著者の思い入れの問題なのかあるいは苦手な思想家だからなのかはわかりませんが、紹介する思想家によってわかりやすさにバラツキがあります。現代思想と言っているわりには範囲は結構広く、現代思想以前のいわゆる哲学者もでてくれば社会学者、心理学者もいます。これ一冊で何がわかるわけでもないですが、読んでいて楽しい本とは言えると思います。

「アメリカ・宗教・戦争」
西谷修・鵜飼哲・宇野邦一 / せりか書房


4年前に買った本。911以後、イラク戦争以前という今となっては微妙な時期の対談録だけれども、イラク戦争後の世界を正しく予見していると言えます。本屋でこれが目に止まった理由は宇野邦一の名前があったからです。ドゥルーズ本の訳者としてしかこの人を知らなかったので、どのような政治的発言をしているのか興味がありました。対談は口語で行われるので学者であってもストレートな言説になりやすいため、僕は昔から対談を読むのが好きでした。特に3人くらいの対談が一番スリリングで楽しめます。この本でも「今問題になっているのはイラク問題じゃなくアメリカ問題なんだ、パレスチナ問題じゃなくてイスラエル問題なんだ」みたいな話が出てきて、僕らが日常話してるポイントをこの人たちもちゃんと押さえてるんだな、という妙な安心感を持ってしまいます。

「ハイデガー―存在の謎について考える」
北川東子 / NHK出版


シリーズ・哲学のエッセンスというNHK出版のシリーズ本の一冊。第1回配本でニーチェ・ハイデガー・ドゥルーズという並びだったのでつい3冊まとめて買ってしまったまま5年ほど放置していました。ほとんど新書みたいな軽い本なので内容的にはちょっと物足りなかったです。というかハイデガーの存在論はその後の哲学にもかなり組み込まれているので半ば常識的な感じがして物足りないのかもしれません。違う時代の違う文化を生きた人の思索を追うのはそういう意味では難しいです。その時はセンセーショナルだったけど今となってはそれがあたりまえになっているから何がすごいのかよくわからない、というのはよくあることですし、ニーチェなんかもそうですが、要するに「西洋の常識が人類の常識とはかぎらない」ことをいちいち解説しているだけだったりして、非西洋の僕らにはかえってピンとこないなんてことがあります。幸い日本の戦後教育はだいたい西洋的なので大まかにはわかるんですけどね。
というわけで今日は3冊読んだわけですが、この3冊を要約して音で表現するとだいたい
こんな感じ(注:公開終了)、かな。

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