モノクロ現像について

次はバルセロナ・・・のつもりだったんですが、またまた脱線します。

前回ナポリの日記は全部モノクロ写真だったので、ついでにモノクロフィルムの自家現像についての解説です。興味ある人は読んでみてください。「そんな解説不要!」って人は飛ばしてくださいw

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モノクロ写真はモノクロフィルムで撮影します。モノクロフィルムは街の現像屋さん(DPE)でも現像してもらえますが、コストとか仕上がりとかの関係で8割くらいの人が自分で現像しています。たぶん。薬品や道具は大きなカメラ屋や通販などで売ってます。モノクロフィルムの現像はカラーフィルムと違ってそんなに難しくないので(奥は深いけど)やったことない人でも2~3回やればとりあえずはできるようになります。

詳しい解説はいろんなサイトがあるのでそちらググるなりしてください。ここでは僕のやり方だけを簡単に説明します。というのも現像にはいろんな方法があるし薬品もいろいろな選択肢があるので巷の解説サイトや解説本を見るだけでは初めての人は戸惑うと思うからです。僕のようにたまにしかやらない人はフィルムと薬品は何を使うかとかどういう手順で現像するかを最初に決めてしまって、毎回同じようにやった方がいいです。そうでないと不確定要素が多くて困ります。

これを読んで「やってみるか」と思ってる人には、フィルムはコダックのTri-X(400TX)、現像液はコダックのD76をおすすめします。理由はどこでも入手できるし、おそらくフィルムがこの世からなくなる直前まで生産終了しないであろうからです。定着液はずっとフジフィックスを使っていたのですが、生産終了になったため途中からスーパーフジフィックスLをまぜて使ってます。

あと用意するものは現像タンク(500mlで2本同時にできるもの)、ダークバッグ、長い温度計、1リットルのメスカップ(大きなプラスチック製のビーカーみたいな奴)、100円ショップなどで売っている500mlの使い捨てプラスチックカップを3個、1リットルの使用済ペットボトル2ケ。それから酢酸。洗濯バサミ数本。スポンジもあると便利。そんなもんかな。あと台所と風呂場を使います。暗室は必要ありませんん。

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手順は以下のようになります。

下準備(事前が良い)

  • 1リットル用のD76現像液の粉末をマニュアルどおりに溶かします。できあがったら良く洗ったペットボトルに入れておきます。
  • 粉タイプの定着液の場合は同様に作っておきます。スーパーフジフィックスLは液体タイプなので必要なだけ溶かして使います。事前に作っておく必要はありません。
  • カップにはそれぞれ現像、停止、定着とマジックで書いておきます。
  • 風呂場(うちの場合はユニットバス)で熱いシャワーを出しを湯気でいっぱいにします。これは空気中のホコリを落とすためです。一旦湯気で満たされたらシャワーを止めます。また、ロープなどを張っておきます。
  • 台所を綺麗にします。特に食器や食品に薬品がかからないようにしておきます。

撮影

  • あたりまえですが、撮影したフィルムが必要です。Tri-XはISO400のフィルムですが、撮影する際はISO320にして撮ることをおすすめします。そんなことができないカメラの場合はISO400でかまいません。

現像タンクの用意

  • ダークバッグの中にタンクとフィルムを入れて光が入らないようにファスナーを閉めます。手探りでリールにフィルムを巻きつけます。簡単に書いてますが、ここが最初で最後の難関です。
  • 巻き終わったらリールをタンクに入れ、光が入らないようにふたをして取り出します。

薬品の用意

  • 現像用カップに現像液を250ml入れます。最終的に20℃~22℃くらいになるように適度な温度の水を足して合計500mlになるようにします。必要ならカップを氷水の中に入れて冷やします。
  • 停止用カップに酢酸を大さじ2杯ほど入れ、水を足して500mlにします。温度は別に気にしなくてOK。
  • 定着用カップに定着液を入れる。液体タイプの場合はこの時説明書の通りにうすめて最終的に500mlになるようにします。温度は20℃±10℃くらいの範囲ならあまり気にしてなくていいと思います。

現像

  • タンクに現像液を入れます。入ったら30秒攪拌。タンクを上下さかさまにしたり戻したりします。30秒たったらタンクの底を流しや壁などでコツコツと軽く叩きます。あとは30秒に1回5秒攪拌します。終わりは現像液の温度によって違います。現像液の説明書のTri-Xの1:1希釈現像の表で確認します。温度などがあいまいで、どうするか迷ったら短めをおすすめします。
  • 時間になったら現像液を流しに捨てます。流しの水は多めに出して薄めながら捨てます。法律上は下水道に流して問題ありませんが、環境汚染が気になる人はポリタンクに入れて処理業者に出してください。
  • 捨て終わったら停止液を流し込み、30秒攪拌します。そしてまた捨てます。
  • 定着液を流し込みます。現像の時と同じように30秒攪拌ご30秒に5秒攪拌を行います。これは終わりが適当なんですが、10分~15分くらいです。迷ったときは長めをおすすめします。
  • 定着液は捨てる人と使い回す人がいます。スーパーフジフィックスLは使い捨てが基本ですが、使いまわす場合は能力が落ちるため原液をちょっと足してやや濃くしてから保管しておいてください。僕は旧フジフィックスの中に少しずつスーパーフジフィックスLを足しながら使い回しています。

水洗

  • 定着が終わったらフィルムをタンクから出して水洗いします。この時点でネガは出来上がっているので仕上がりは確認できます。水洗いは30分くらいやった方がいいです。手間をかけられるなら最初に薄い塩水で5分くらい洗ってから、真水ですすぐのをおすすめします。
  • 水洗後にドライウェルという薬品を使う人がいますが、これはマイナス効果も大きいので、良くわかっててあえて使う人以外にはおすすめしません。

乾燥

  • 洗濯バサミで風呂場のロープに干します。洗濯バサミは重りとして下にもつけておきます。
  • スポンジで水滴を拭き取ると早く乾きます。
  • 見た目的に乾いてると思ってても実は乾いてないことがあるので、十分に乾かします。

仕上げ

  • 6枚ずつハサミで切ってネガ袋に入れます。
  • 乾燥したネガはちょっと丸まってしまいます。ネガ袋ごと辞典など重いものに3日くらいはさんでおくと平らになります。

以上で完了です。

僕の場合はその後スキャナー(EPSON GT-X900)で2400dpiで取り込んでTIFFで保存しています。プリントする場合はプリンター(EPSON PX-G900)で印刷します。ちなみに引伸機(FUJI CF670)も持っているし暗幕カーテンを用意しているので焼き付けもできるのですが、よほど暇でない限りやりません。
というわけで、もし、面白そうだと思った人がいたらやってみてください。

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