自転車乗りのためのカメラバッグ選び

前回のエントリーに「ロードバイクでカメラをどうやって持って行ってるのか?」という質問がありましたので、今回はその辺のことについて書きたいと思います。


まず初めに言っておかなければならないことは、そもそも数10gを削るために何万円もかけるようなロードバイクの世界に1kgの一眼レフカメラを持って飛び込んでいくことは「なんか変」な行為だ、ということです。TTやるならまずその一眼レフを家に置いてこいよ、と。しかしそれでも「一眼レフ持っていくのはデフォ」というローディは結構いるでしょう。ヒルクライムでも「縛り」が楽しみを増幅させるものです。

僕自身もそういう人のなかの一人で、今のところよほどの本気走りでないかぎりはカメラを持って行くのですが、そのカメラを入れるバッグにはなやまされてきました。まだベストなバッグに出会ったというわけではないのですが今回は「現時点でのとりあえずの結論はこんな感じ」というのを紹介します。

上の写真は最近K-7をヒルクライムに連れていく際に使用している「NORTH FACE BC MESSENGER BAG XS」です。この手の小さなメッセンジャーバッグは「ぱっと見メッセンジャーバッグっぽいけどストラップの長さが簡単に変えられなかったり体にピッタリと固定できなかったりと中途半端」なものが多いんですが、コイツはバッチリ体に固定できるのでダンシングでユラユラしたりダウンヒルで前に回ってきたりはしません。ただしストラップにパッドがついてないので肩に食い込んで痛いことがあるため、別にパッドを買ってつけました。

ストラップを短かくして背中に固定してジャージのポケットにかぶらないように固定することもできますし、背中が蒸れるのがイヤな場合は写真のようにポケットの上にあえてかぶせることもできます。また、「今日は本気モードだ、三脚も持って行くぞ!」という時でも下の写真のようにあまり邪魔にはなりません(※三脚を担いでるときに転けると背中がかなりヤバいと思うので注意)。

サイズはXSなのでかなり小さく、ウエストポーチ以上ヒップバッグ以下、と言ったところでしょうか。メーカー公称9Lだそうですが、5~6Lくらいじゃないかと思います。

カメラ本体はバッグに直接放り込みます。新品のカメラを気づつけたくないためにインナーにソフトな素材を入れたりソフトケースで包んだりしたいところですが、そうするとかさばるし、撮影時に取り出しにくくなってしまうので、ここは勇気を持ってそのまま放り込むのがベストです。そのかわり、カメラ本体以外のものをソフトケースに入れます。

たとえば7月5日の白石峠の際は下の写真の構成です。本体にはパンケーキレンズDA21mm/F3.2Limitedを装着。100円ショップのボトルケースにズームレンズTAMRON A09を入れていました。

この状態では、下のようにまだスペースに空きがあります。

そこに食料などを入れることが出来ます。ちょうど薄皮あんぱん3ヶ入りが入ります(撮影用にピーナッツクリームを買いましたが、ほんとはつぶあん派です)。

標準ズーム(写真はDA18-55AL WR)一本で済ませるならばもっと余裕があるので、輪行バッグ(L-100)なども入れられます。

ちなみにこのような入れ方をできるのはK-7サイズまでで、K20DやEOS20Dのときには別のバッグを使うか下の写真のようにレンズをはずして収納していました(写真のボディはEOS10QD)。K-7のようなやり方でも無理矢理入れれば入るのは入るのですが、背中にゴツゴツと不快感が出てしまうので走りに影響します。

K20DからK-7に乗り換えた一番の理由がこの収納サイズの小ささでした(右上:K-7、左下:EOS10QD)。

ボディを複数持っていく場合はこのバッグでは小さすぎるので、下のように大きめ(メッセンジャーバッグとしては普通?)の「mobus Messengerbag L」を持ち出します。中には「ハクバインナーソフトボックス 2型」を入れてありますので、かさばりますが安心です。

下は収納例です。ボディがPENTAX LX、SuperA。レンズがPENTAX M20mm/F4、M35mm/F2、M50mm/F1.7、M85mm/F2、M75-150mm/F4、Jupiter9。それにブロアと露出計。これは実際に3月に持っていったセットで、実際はこれプラスレンズ二本(Zeiss JENA 35mm/F2.4、INDUSTAR 50-2)が入っていました。これで60kmくらい走ったのですがさすがに疲れました。重いコンダラ状態です。

ほかにヒップバッグも持っていますが、これはあまりカメラの収納には使えません。容量は大きいのですが、あまり重いものを入れると腰を圧迫して血行が悪くなるし、そもそもダンシングはまともにできません。またカメラを取り出しにくいです。それでもヒップバッグに一眼レフを入れてロードバイクで走ろうと思う場合にはぜひ写真のように肩ストラップと併用してください。それで少しは腰の負担が軽減されますし、撮影中は肩かけバッグとして使えます。またリュックのように両掛けストラップのついたヒップバッグもあるようです。

バックパック(リュック)はおすすめしません。背中が蒸れる、カメラを取りだしにくい、ポジション調節の自由度が低い、などデメリットが多すぎます。カメラ専用のLowproのバックパックを持っていましたが、そういうった理由で全く活躍しませんでした。ただバックパックには左右対象なので変な力をかけずにすむ、重くても大丈夫、などのメリットがあるので、「撮影のための移動手段に自転車を使う」という使いかたであればありだと思います。

ウエストポーチ、ウエストバッグは一眼レブには小さすぎますが、小型一眼+パンケーキレンズの組み合わせで肩たすきがけで使うのであれば使えなくはないです。僕の場合PENTAX MXとM40mm/F2.8をウエストバッグに入れたことが何度かあります。

最後に、カメラ/自転車用バッグ選びのポイントをいくつか書いておきます。

1) まず、内側に(できれば外側にも)余計な装飾がないこと。レンズやカメラに傷をつける要素は少なければ少ないほどいい。
2) 取り出し口に金属ジッパがあるのは問題外(これが案外多い)。カメラを出し入れする度にすり傷をつけないよう気を使うカメラバッグなんて馬鹿げてます。
3) しかし内ポケットは多いほうがいいです。ジッパじゃない内ポケット。インナーケースはかさばるので最後の手段とし、ボディ、レンズ、携帯電話などの小物類くらいは別々に収納できるスペースがほしいところです。
4) それから体にフィットする形状かどうか。ダンシングするとくるくる動きまわるようでは使いものになりません。下りで邪魔するバッグは危険です。
5) そして最後に目立つこと。世の中には黒いメッセンジャーバッグなんてのもありますが、わざわざ車に見つかりにくい色を選んで事故率を向上させることに何もメリットはありません。

そんなところでしょうか。

あなたもぜひ一眼ローディの世界に飛び込みませんか? そしてオススメのバッグやアイデアがあればぜひ教えてください。

7 thoughts on “自転車乗りのためのカメラバッグ選び

  1. たけちゃん

    はじめまして。
    いつも興味深く拝見させていただいております。
    自転車で使うカメラバックは、なかなか「これ!」というものを見つけにくいですよね。
    そんな中で、私が使っているのはLowePro SlingShot 100 AW。
    取材も兼ねたサイクリストにとっては、頼もしい相棒です。

    返信
  2. yama

    うおっ、三脚まで! すごいですね。
    やはり試行錯誤でしたか。背中が蒸れず、走行に影響が少なく、それでいてカメラを取り出しやすいバッグってなかなかありませんね。
    「NORTH FACE BC MESSENGER BAG XS」。なかなかいい感じ。今度、ショップに見に行ってみます。

    返信
  3. わきもと

    >たけちゃんさん
    やはりLoweproですか。以前使ってたのを調べてみたら オリオントレッカーII というやつでした。取材とかに持っていくにはいいですね。自転車に跨ったままカメラを取り出すには向いてないですが。
    >yamaさん
    三脚はもう一回り小さいのも持ってるんですが、istDS2ではOKだけどK-7には微妙でした。滝とか撮るなら必須ですね。とはいえ実際はほとんど持っていきませんよ。三脚は。

    返信
  4. たけちゃん

    SlingShot 100 AW
    これの利点は、
    ・ショルダーベルトが1本なのに、身体に適度に密着して背負いやすい
    ・それなのに、なぜか蒸れにくい
    ・背負ったままクルリと身体の前に持ってこれる
    ・その時、向こう側をヒンジにして手前側が開く
    ・おかげで中身を落とす心配がない、出し入れしやすい
    ・底に防水カバーを内蔵している
    ・値段も、まあ手頃(約1万円)
    英国にいたときにOrion AWを購入して以来、 カメラ用バッグとしてはLoweProを愛用中。
    自転車でないときの取材はStealth Reporterです。
    RoverAWやOrion Trekker(旧型)も使いましたが、
    まぁ信頼しているからなんでしょうねぇ(まるで他人事…)
    三脚ですか…。
    奥多摩に限りませんが、滝などは暗いところにありますからね。
    一脚にしたらかなり楽になると思いますよ。

    返信
  5. わきもと

    そうそう、この半年ほど一脚を物色してるのですよ。あれなら持っていけますね。学生時代はアンチ三脚で一脚ばかり使ってました。
    しかし手振れ補正のおかげで一脚の利用者は減少の一途だそうです。たしかに手振れ補正の補正できるブレと一脚の防ぐブレは同じ傾向なのかもしれません。なので手振れ補正で2段、一脚で2段、併せて4段とはいかなそうです。

    返信
  6. たけちゃん

    そうかー。
    手ブレ補正のないカメラしか使ったことのない私には盲点でした。(^^;)
    多段でうんとコンパクトになるものをバッグに入れる…
    安全を考えると、それくらいしか思い浮かばないですが。

    返信
  7. コズエ

    そのNORTH FACEのメッセンジャー、かわいいよねー。海外のアウトドアもの昔からだいすき!

    返信

コズエ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

この記事へのコメントはこちらへもどうぞ!!

Mastodon: @tomoki@tomokiwakimoto.com

X: @tomokiwa

Facebook: hwakimoto