「エクスマキナ」観ました

前作『アップルシード』はDVDレンタルで観て「まあまあ思ったより面白かった」という程度でしたが、今回の『エクスマキナ』は「ある理由」でぜひとも劇場で観なければ、と思っていました。上映館が少ないのでなかなかチャンスがなかったんですが、やっと観てきました。


EX MACHINA ORIGINAL SOUNDTRACK COMPLETE EDITION

ぜひとも劇場で観なければならない「ある理由」というのは、言うまでもなく音楽が凄い(と思った)からです。

音楽監督:細野晴臣
楽曲提供:HASYMO(細野晴臣+高橋幸宏+坂本龍一)、コーネリアス、テイ・トウワ、レイ・ハラカミ、コシミハル、他。

このメンバーが集まったのに、よりによって3Dアニメのサントラかよorzって感じもしますが、とにかくちょっとの期待と大きな不安を抱いて劇場に足を運びました。

音楽に関しては、「非常に良かった」です。思ったより普通のサントラで、前に出すぎることもなくいい感じで映像に馴染んでいました。サントラはもちろん買いました。今聴いてます。映画トータルとしては、日本の良質なアニメを観たときのような脳みそをマッサージするような満足感はなく、ハリウッド物を観たときの物足りなさを感じました。ストーリーにしても演出にしても、映像技術にしても、です。ただこれは前作と同じといえば同じなので想定の範囲内です。映像は凄いといえば凄いのですが、アニメーション特有のアウラを感じない。

この問題はきっと複雑です。たぶん製作側だけの問題ではない。観る側の感じ方についても心理学的に研究する必要があるでしょう。背景は3DCGでも違和感がないんですが、3DCGキャラクターには違和感を感じる。たとえば映画「FINAL FANTASY」と比べてみると、レンダリング手法もキャラクターのデフォルメ度合いも全く違っていて、方向としては「アップルシード」や「エクスマキナ」の方が違和感が少ない手法であるハズだ、とは直感的にわかるのですが、あいかわらず同じ違和感を感じてしまいます。しかしどうしたらその違和感がなくなるのかわかりません。たとえていうならば、ゲームでムービーパートが延々続くのを観ている時のようなちょっとイライラする感覚です。

ここでは僕の提示する仮説として、僕らの脳にはすでに「3DCGはインタラクティブなものだ」という認知がなされていて、「操作できない3Dキャラクターは物足りない」と感じているのかもしれない、と書いておくにとどめ、今後研究が進むのを待ちましょう。

そうそう、ネタバレになりますが、内容に関して疑問点が一つ。

「コネクサスはオープンソースなのに誰もソース読んでなかったの?」

オープンソースなら、あんな危険なコードが入ってれば誰か気づくハズです。きっと脚本家はオープンソースのことをよくわかってないんでしょう。うろ覚えですが「オリジナルを誰が作ったのかはわからないんだけど、ネットのオープンソースで配布されてる」みたいな事を言っていました。「ネットで配布」ならわかる。「オープンソースで配布」でもギリギリわかる。でも「ネットのオープンソースで配布」はおかしい。言うとすれば「オープンソースとしてネットで配布」か「オープンソースだからネットで配布」かそんなところでしょう。

無理やり好意的に解釈するなら、我々の言う「オープンソース」とこの作品上の「オープンソース」は全く意味が違っていて、この作品でいう「オープンソース」というのは単に誰でもソフトを落とせるVectorみたいな無料サイトか何かの名前であって、ソースが公開されているわけではない、というところでしょうか。まぁだとしても「オリジナルを誰が作ったかわからない」という言葉からするとオリジナルから途中で改変されているという意味にもとれるし、であればやっぱりソースが公開されてるハズなんですけどね。

この作品は押井監督作品の「劇場版パトレイバー」あたりを参考にしたと思われる箇所がたくさんあるんですが、押井監督と違って専門用語を出すときの下調べが弱いんじゃないかなあと。

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