第3回:ひょうたんスピーカーを作ってみる

お待たせしました。いよいよ作ります!


●ひょうたんの加工
前回書いたように、ひょうたんスピーカーは下の図のような構造になっています。

ひょうたんの加工の手順は以下のようになります。
・スピーカーユニット取り付け用の穴を空け、カッターややすりなどできれいにする。
・バスレフ穴を空ける。(必須ではありません)
また、種抜きしていないひょうたんを使用する場合は以下の作業も必要です。
・中身(種など)を取り出す。
・口(先端部分)に穴を空ける。
◆スピーカーユニット取り付け穴を空ける
まず、スピーカーユニットの図面や実物から寸法をはかり、空ける穴の直径を決めます。
コンパスで半径1mmほど小さめの円と直径3mmほど小さめの円を描きます。

この際、コンパスの中心はひょうたん下部のヘソの部分ではなく、真下(先端をつまんで
机の上に下ろした時に最初にぶつかる部分)にした方が完成時の見た目は良いと思います。
へそが真下になっているひょうたんだと理想的です。

円を2つ描いたら、内側の円に沿ってキリかドリルで穴を空けていきます。外側の円は
最終的に空ける大きな穴の縁です。内側の円を中心にしてキリやドリルで穴を空けていくと
最後にその穴ができあがる、という寸法です。穴と穴の間は1mm程度空けておいた方がいいです。
4mmのドリルであれば5mm間隔程度で空けていきます。

実際にはそんなにきれいにはいきません。1mm余裕を持たせてあるのである程度おおざっぱで
問題ありません。
円に沿って穴を空けたら、その穴と穴の間をニッパでカットしていきます。全部カットすると
円に沿った大きな穴が空きます。
◆先端に穴を空ける(種抜きしてない場合)
種抜きしてある場合はすでに穴が空いていると思いますが、空いてない場合は空けます。

キリやドリルで空けてください。最低でも4mmくらいの大きさが必要なので小さい穴しか空け
られない場合はリーマーなどで広げてください。
◆中身をかき出す(種抜きしてない場合)
スプーンなどで中身をかき出します。中心部分の種のかたまりは先ほどの円の部分を引っ張ると
一緒に取れてきます。あとはスポンジーか発泡スチロールのようになっている中身を気が済む
までかき出すだけです。
中身の状態は様々ですが、腐って湿っているとかそのまま使うのに明らかに支障があるような
状態であれば何らかの加工が必要でしょうが、私が使ったひょうたんにはそういうものは
ありませんでした。
小さいひょうたんの場合、奥まできれいにかき出せないかもしれませんが、できるだけがんばって
出します。先端の穴の方から棒を突っ込んで押し出してもいいです。
内壁にはスポンジ状のものがこびりついていますが、これはそんなに気にしないでいいでしょう。
むしろ吸音効果があるのでこのまま利用しても良いと思います。
◆大穴の成形
先ほど空けた大穴はギザギザしているのでやすりやカッターなどでならします。
ひょうたんはそんなに固くないので慣れればカッターで成形できます。ある程度きれいになったら
スピーカーユニットをハメ込みながら穴の大きさを広げて調節していきます。

縁は上図のように加工します。
うまく加工できると何の固定もしていないのにスピーカーユニットがすっぽりとハマり
ぶら下げても落ちない状態にできますが、そこまできれいにできなくてもあとで接着する
ので問題ありません。
◆バスレフ穴を空ける(必須ではありません)
ひょうたんの上の方(小さな方)の球に1cm程度(ひょうたんが大きければ大きくて良い)の
穴を空けます。これはバスレフ穴と言って、低音を出すための穴です。

ただし、この穴があった方が良いかない方が良いかは音の好みや使うスピーカーユニット
ひょうたんのサイズや形状によって違います。今回私は実験的に2つは空け、2つは空けない
ままにしましたが、結論を言うと10cmひょうたん+W2-800SLの組み合わせでは空けない方が
好みの音になりました。
◆洗浄する
加工が終わったら、水洗いします。今回はやすりがけしたので塗装前にその粉を洗い落す
のが目的です。洗うと乾燥に時間がかかる(丸一日程度)ので洗わないのも一つの手です。
●スピーカーユニットの加工(必須ではありません)
今回は小型のひょうたんということで小型スピーカーを用意したのですが、それでもひょうたん
の大きさのわりにスピーカーユニットが大きくて不恰好です。そこで耳の部分を切り落として
見た目にコンパクトになるように加工しました。
W2-800SLの耳はプラスチック製ですので、まず、ハンダゴテにカッターの刃をつけたもので
耳を切り落とし8角形にします。



作業中はスピーカーのコーン部分を傷めないようにマスキングテープで保護しています。

その後さらに16角形にし、最後にやすりで丸めました。



やすりがけは徐々にきめの細かいものを使用して仕上げます。どこまで丁寧にやるかは自由ですが、そもそもこの工程そのものが見た目のためだけにやっているので気にならない人は四角いまま取り付けても良いのです。

●吊り下げ用針金を仕込む

今回は下図左のような簡単な構造にしました。

スピーカーユニットもひょうたんもそれほど大きくないのでこの構造でも問題ないのですが、
大きなひょうたんと大きなスピーカーユニットを使用する場合は、この針金をスピーカーに
固定した方が良いのではないか(上図右)と思います。


●塗装
塗装については私もそんなに経験していないし、特に完成品を長期間使っているわけでは
ないので保存性などについては他の方の情報を参考にした方がいいと思います。また塗装
するとせっかくのひょうたんの質感がそこなわれるので、塗装しない、というのも一つの
手だと思います。
今回は以下の手順で塗装しました。
まず、荒目の紙やすりで表面を荒らします。これは油分を取る効果と塗料の定着を良くする
効果があります。
その後、エアブラシでメタルプライマーを塗りました。メタルプライマーは金属を塗装する
際に塗料の定着を良くするための下地剤ですが、金属以外にも使えます。エアブラシがない
場合は筆で塗っても問題ないと思います。
メタルプライマーが乾燥したら、上から塗料を塗ります。今回はジェッソを使いました。
ジェッソは白い粉を溶かしたようなもので塗料というよりは下地剤ですが、この質感が
好きなので塗料として使いました。乾くと陶器や紙粘土細工のようなマットで多少デコボコ
した質感になります。

当初エアブラシで吹いていたのですが目詰りがヒドいので筆塗りに変更しました。水ではなく
アクリル溶剤で溶きます。あまり厚塗りせず、乾いたら塗り、乾いたら塗り、を繰り返します。
4回ぐらい重ねました。写真のようにぶらさげて乾燥させます。
最後に表面の強度を上げるために、クリアコートします。今回はプラモデル用の「水性ホビーカラー
つや消しクリア」をアクリル溶剤で溶き、エアブラシで吹きました。これも乾燥を挟み3回くらい
やります。余ったクリアは内側に吹きました。これはまああまり意味はないかもしれませんが
なんか保存性があがったりしないかなーという安易な発想です(笑)。
●配線加工
内部配線用のケーブルを以下のように半田付けします。

●スピーカーユニットの取り付け
スピーカーユニットとひょうたんは木工用ボンドで接着します。木工用ボンドの接着力は
そんなに弱くないので通常はこれで問題ないと思いますが、湿気には弱いので場合によっては
違う固定方法を検討した方がいいでしょう。
(図)

特に大きなスピーカーユニットを使用する場合にはこの接着だけでは弱いので、前述のように針金を
スピーカーユニットに固定するなどして、もし接着部分が外れてもスピーカーユニットが落ちて込ない
ようにきちんと対策しておいた方がいいでしょう。今回はサイズの関係でスピーカーユニットに
ついている木ネジは使用しませんでしたが、これも使用できる場合には使った方がいいでしょう。


●完成!

ご覧のようになりました。



切り落とした耳もよーくみないとわからないくらい自然に見えませんか(笑)?
では、次回は「これをどうやって鳴らすのか」について、つまりアンプについて解説します。
※この記事に関するご質問などはtwitter:@tomokiwaまでお気軽にどうぞ。わかる範囲で(笑)お答えします。

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