読んだ漫画 – アレクサンドロス

「アレクサンドロス~世界帝国への夢~」安彦良和 NHK出版

2年くらい前に買ったんですが、何気なく再読しました。

ハードカバーで1600円という価格やNHKの企画した漫画教養物であるという点から、本屋に置いてあるのを見た限りではスルーしそうな漫画です。しかし安彦良和だから少なくとも絵は最高にうまいんだよな・・・などと悩んだあげく買ったのを思い出しました。

いわゆるアレキサンダー大王の伝記なわけですが、数ある安彦良和の歴史漫画のなかでも、実在(といわれる)人物がそのまま主人公になっているのは少数派です。僕の読んだ中ではこれと「我が名はネロ」だけです。おそらくこのことがこの作品の重要なポイントだと思います。ほとんどの作品では史実にしろそれをつづった作品を原作にしているにしろ架空の(安彦オリジナルの)主人公を登場させるケースがほとんどです。

正直一般論としては、僕も含め安彦漫画のファンでも「安彦良和は、絵は超一流だがストーリーは平凡である」と認めざるをえないのですが、伝記であるが故の創作の少ないストーリで構成されているためか、この作品は話が面白い。とくに登場人物たちの人間関係の変化とか成功哲学と倫理のぶつかり合いのような部分がリアルに読み込めます。

残念なのは展開が速すぎること。このくらいのほうが何度も読む楽しみはあるのですが、地名や人名の登場回数が少ないことが理解を難しくしているし、地図や過去のシーンをなんども読み返さないと面白さが理解できないという点はちょっと不親切だと思います。本来は全三巻くらいで出すべき分量ではないでしょうか。

安彦好きか伝記好きなら必読、そうでなかったら買ってまでではないかな、というオススメ度合いです。

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