「スナップ写真のルールとマナー」

近年は、路上スナップとか何気ない日常のワンショットというのは今はほとんど撮影できなくなりました。

それは、ブログなどの気軽に写真を公開できるメディアの登場とそれと同時に広まった「盗撮」に対する警戒心とか、なぜか過剰な「肖像権」主張とか、ほぼ関係ないのに個人情報保護法とか、そういった現代の社会風潮の中で「理由もないのに写真を撮るな」という共通認識が世間に蔓延しているからです。写真に興味がない人はあまりピンと来ないかもしれませんが、これは文化的にはかなりの危機状態です。このままでは平成日本の街の風景はまともな記録としては残らない可能性が大きいです。

人物スナップの場合は「撮影の前か後に声をかけて許可をとる」というのが写真家の間では広く行き渡ったマナーなのですが、最近では「写真撮ってもいいですか?」と声をかけたら不審者として通報された、という事件に発展したという例もでてきており、モデルと友人以外の人物は撮らない写さない、というのが新しいルールになろうとしています。そうなるとカメラ目線の「作られた」写真以外はなくなってしまい、自然な街並みやファッション、流行などが記録されないことになってしまいます。

僕は近年、「これは非常にまずい状況だ」と思っていたんですが、やはり写真業界でもこの行き過ぎた状況に歯止めをかけようと思った人があらわれたのか、日本写真家協会からこういう本がでました。

「スナップ写真のルールとマナー」 [朝日新書063]

この本はプロアマ問わず写真家がスナップ撮影をする際に注意する点をQ&A形式で解説した本ですが、基本的には「この逆境の中でいかにスナップ写真を撮る権利を守るか」というコンセプトで作られているように思います。肖像権、著作権など法的な側面からも「何はまずくて何はOKなのか」が詳しくかかれています。ですので写真を撮る人にとっては必読書でしょう。

というわけでこの本の出版意図はよく理解できますし、趣旨には賛同します。しかし大雑把に言えば「どうすれば良いかはケースバイケースです。誠意を持って対応すれば大きな問題にはならないでしょう」と書いてあるだけなので、正直に言うと心許ない。ギリギリのところで逃げてるというか、難しい問題をただ難しいと書いてあるだけというか。

とは言え、この本は「写真にまつわる共通感覚を再構築していく」ための重要な第一歩でしょう。そしてこれをスタートラインとして新たな可能性が開かれていくことに期待しましょう。

カテゴリ: 読んだ本/漫画 日付:

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