間が開いてしまいましたが、年末年始の間リコーからお借りしていた PENTAX K-3 のレビューのつづきです。
これまで、実写レビューが「インターバル撮影のみ」という変則的な進行でしたが、今回はちゃんと実写写真を掲載します(笑)。
アップしている画像(クリックして拡大したもの)は PENTAX K-3 のJPG撮って出しをmogrifyの90%圧縮で長辺1280pxに縮小したもので、EXIF情報は保持されています。なお、サムネイルはWordpressで長辺450pxに再圧縮されています。
オリジナルのファイルは こちらから一括ダウンロードできるようにしました。256MBあります。
なお、撮影に使用したレンズは自前の smd PENTAX DA35mm/F2.8 Limited と smd PENTAX DA15mm/F4 Limited です。
分割測光の性能について
僕はこれまでペンタックスのカメラでは中央重点平均測光しか使ってきませんでした。なぜかというと「分割測光はカメラごとの露出の出方が違うため露出補正がしづらく歩留まりが上がらない」からです。いくつものカメラを併用している限りついてまわる問題です。もちろん補正しなくてもベストな露出を出してくれる賢い分割測光であれば問題ないのですが、今のところ他社を含め、そんなカメラには出会ったことがありません。しかも、これまで使ってきたK-5は、カメラごとのバラつきの少ない平均測光でさえ露出が安定せず、ちょっとでも黒いものがあるとすぐオーバー目に出る傾向がありました。K-7だと問題ないので不思議です。
ですが、今回 K-3 では測光周りが全面的に作り直されているということで、鳴り物入りで搭載された「8.6万画素RGB測光センサー」による分割測光で撮影してみました。
まずは、黒塗りの壁のお店。これはもう仕方ないと思いますがやはりオーバーになりました。
マイナス1補正したところ。まあこんなもんですかね。
露出補正はマイナス1のままですが、出てきた露出値は上の写真よりも2段アンダーになりました。これもこれで適正ぐらいでしょうか。
つづいて暗めな色の被写体を撮影してみましたが、僕の好みよりは-1アンダーに出ました。
比較テストを行っていないのであくまで印象ですが、K-3の分割測光を試してみた感想としては、「通常のペンタックス(K-5以外の)の平均測光の値から理想値に30%寄ったような値が出てくる測光方式」みたいな感じでしょうか。これに慣れるのであればそれはそれで問題ないと思いますが、他のカメラと併用するならやはり平均測光で使うかなあ、と思います。
ところで、この8.6万画素RGB測光センサーはリコーでもペンタックスでも初搭載なわけで、これからデータを集めてブラッシュアップしていくのではないかと思うのですが、プロファイルのアップデートなどは行われるのでしょうか? というのも、いくら新技術で測光できたとしても測光したがちゃんと適正な露出値として反映されないと意味がないと思うからです。キヤノンやニコンと違ってペンタックスでは分割測光のデータを取ったりプロファイルを作成したりするのに大量の人員を割くことはないと思われますし、K-3発売前にそれがどれだけ行われたかを考えると正直あやしいのではないかと思います。ぶっちゃけ今の段階では86000の素子を77分割してこれまでのデータに変換してる程度なんじゃないでしょうか。だとすると、これからアップデートで性能が向上する「伸びしろ」はまだまだ多分にあるのではないでしょうか。
ところが、たとえ精度が上がることになるとしても、測光結果がアップデートで変わってしまうというのは既存ユーザにとっては困るものです。そこで、です。カスタムイメージのように分割測光プロファイルをいくつも搭載し、好みのものを使用できるようにしたらどうでしょう? いやむしろ分割測光のプロファイル作成に必要なパラメータを50個くらいに厳選してプロファイルをユーザが自作できるようなしくみを用意したらどうでしょうか? プロファイルはクラウドにアップロードしてユーザ間で共有できるようにして。それならメーカー内でちまちまやるよりも良いデータ取れるんじゃないですか? PCアプリでも良いと思いますよ。つーかそういうのやりたいんですが。
暗所での撮影について
発売前、K-5の高感度耐性が非常に高かったため、K-3には期待と不安が集中していたようです。そこでIO1600と3200で室内撮影をしてみました。
撮影場所はこちらのお店→ 珈琲と酒 音楽と本 黒猫
K-3の高感度、どうでしょうか? K-5よりは1段くらい落ちるかもしれませんね。でも、実用上これで問題ないんじゃないでしょうか。
ダイナミックレンジ
ちょっと作例が微妙かもしれませんが、逆光っぽいシーンで黒潰れしないか確認してみました。
まあこれらはカスタムイメージにもよるしRAWにどこまで入っているかで決まるので撮って出しでは一概にどうと言えるものではありませんが。
これはまあ露出をオーバーにすれば良いだけなのでよしとして。
これなんかどうでしょう? メインの竹細工に露出を合わせつつ、建物の黒潰れを回避。左上の枝は飛んでますが、RAW現像なら救えるかな。
これは木に気を配ってみた感じです。
その他
あと、撮ったやつをいろいろアップしておきます。
というわけで、2週間ほどお借りしていたこの PENTAX K-3、ザックリ言うとなかなか良いカメラです。買おうかどうか迷っている人は全く迷う必要はないでしょう。僕の場合は未だにK-7がメインで稼働中だしK-5もあるし、それどころか*istDS2もなんとか動いているので今すぐに必要というわけではないのですが、K-5でインターバル撮影しまくっているのでガタが来たら買い換えるかもしれません。
最後に、このモニター企画についてですが、とてもいいと思う反面、時期が微妙でした。発売から2ヶ月経っていて購入者のインプレも出揃っている時期だったこと、到着が連休(天皇誕生日)開けで撮影回数が限られたこと、などです。今後はぜひ、発表~発売の間の1ヶ月ほどの間に貸し出していただきたいです。そしたらもっとモチベーション上がりまくりで参加できるのではないかと思います。