久々に写真をアップしてみます。本日のテーマは「紅葉」と「スナップとは何か?」です。
昨年は紅葉狩りならぬ紅葉撮りのために中判担いで山に行ったりしたのですが、異常気象で色付きが悪く良い写真が撮れませんでした。今年の紅葉は昨年よりは色付きが良いようですが、残念ながら紅葉撮りをやってません。
そういうわけでまずは偶然出会った紅葉写真を2枚ほど。
以上、きれいだねー。というそれ以上でも以下でもない写真でした。
さて、本題です。
俺はよく新宿あたりでスナップ撮影をしています。こういう風に言うとよく「スナップって?」と聞かれます。プロの人にも聞かれます。一般的には友達同士でピースしているような写真のことを「スナップ写真」と呼んだりします。また、ファッション写真業界では街中でおしゃれな女の子をつかまえて撮影して雑誌に掲載したりするのを「ストリートスナップ」と呼んでいます(俺はストリートスナップをこれに限定するのには異論があるんですが)し、結婚式写真業界で「スナップ」と言うと、三脚を使って気合い入れて撮った本気写真以外の会場の感じをラフに撮影したものを指します。
俺が言う「スナップ」とは上記のどれでもありません。あまり明確にジャンル分けしたりするのは好きではないので大雑把に言いますが「カメラ目線でない人物とまわりの様子が写り込んだ自然な写真」です。「キャンディッド・フォト」という呼び方もあるようですが、俺はキャンディッド・フォトとスナップの違いなどについて明確には理解していないし、ジャンル分けすることが目的ではなく自分の写真を説明するのが目的なので俺は両者は大雑把に同等なものだと理解しています。
写真は以下のようなものです。
| PENTAX K-7 | DA15mm/F4 Limited |
| PENTAX K-7 | DA15mm/F4 Limited |
| PENTAX K-7 | DA15mm/F4 Limited |
この写真にどんな意味があるの?と聞かれると、まあちゃんと答えられはしますが、だいたい「撮りたいから撮ってるだけ」と言ってすませてしまうことが多いです。
こういう「カメラ目線でない人物とまわりの様子が写り込んだ自然な写真」を撮るには、被写体は知ってる人でも知らない人でもいいんですが、知ってる人の場合はかなり難しいです。だいたいカメラを構えると目線を送ってきたりポーズをとったり、そうでないにしても不自然な写真になります。なので俺のスナップ写真はほぼ知らない人が写っています。その人に撮影許可はとっていません。理由はいくつかありますが、まず「許可とったら不自然な写真になって本末転倒である」「撮影のテンポが悪くなる」「聞かなきゃスルーされるのに、聞いたらダメと言われる」などスナップをやってる人の多くがかかえている問題があります。しかしそれ以上に大事なこととして「その人を撮りたいわけじゃなくて撮りたい情景の中にたまたまその人がいるだけなので、何故撮るのと聞かれても必然がない」という問題があります。
で、本題の本題です。
スナップ撮影は盗撮と紙一重と言われます。俺はスナップを未承諾撮影と呼んでいますが、盗撮も未承諾撮影ですので区別しづらいと思う人もいるでしょう。違いはどこにあるのかについて俺の見解を書きます。
1)まず「撮影している事実を隠していない」こと。一眼レフを持って堂々と撮っていますので、バッグの穴からコソっと撮るようなものとは全く違います。
2)また「写る人そのものには興味がない」こと。これは人によってはかえって失礼と思うかもしれませんが、俺にとっては重要です。撮る時に人を選ばないかというと嘘になりますが、その人である必要は全くない。例えば赤い看板の前を通る人が赤い服だったら絵にならないけど、黒だといい感じになるので黒い人を撮る、とか。基本的にそのバックの風景に合っている人を選びます。服装や身長や性別、場合によっては顔立ちや表情も重要にはなりますが、あくまで全体の絵の中にその人が合っているかどうかだけの基準で選んでいるのです。その人そのもの(やその一部)自体を被写体としている盗撮とはこの点も全く違います。
と同時に、前述のようにこれが事前承諾や事後承諾を難しくしているというのもあります。「私じゃなくてもいいのならなぜ私を撮るんだ」にうまく回答できないのです。またその人そのものを撮っているわけではないので「撮ってもいいけど撮影料を払ってください」にも同意できないんです。
3)そして「撮っている写真を撮られた本人に見せられる」こと。実際に見せることはほとんどありませんが「やましいところは一つもない」というのが重要です。盗撮はやましさ100%ですからこの点でも全く違います。
4)最後に「パブリックな物を写している」こと。一般的に自分の顔はプライベートだ、と思っている人がいるかもしれませんが、俺の考えではそれは違います。顔はパブリックです。もし顔がプライベートなのであればそんなプライベートなものを人前で見せているのはおかしいなことです(もちろん顔を隠す文化の国もありますので一概には言えませんが)。プライベートなものとは、例えばスカートの中とか、家の中とかそういう公の場で見せないように隠しているものです。
以上が俺の考える盗撮とスナップ明確な違いであり、俺が撮影する時のルール(の概略)です。しかし「勝手に写される側としてはこのルールには異論がある」という人もいるかもしれません。そういう人とは議論しましょう。俺は俺が撮りたい写真を撮るためにならいくらでも説明するでしょう。が、少なくとも議論する前に「私には肖像権があるので私を勝手に撮影するのは違法である」という理解は間違いだということくらいは勉強しておいてくださいね。ちなみに削除依頼に関しては本人からのものであれば確実に対応します。本人確認はしますけど。
で、先ほどの写真ですが、実はかなり選んでいます。良い写真かどうかではなくて載せていい写真かどうかを。なぜかというと「写真を撮る」ことと「写真を公開する」ことは別だからです。「ブログ(あるいは写真展、写真集、雑誌など)に写真を載せるとどういう人が何人くらい何の目的で見るのか」を考えるのは写真を選ぶ際の基本ですが、簡単にコピーできて知らない人が広めることができるブログという公開メディアで、見知らぬ人の顔がデカデカと写った写真を公開するのはやはり気が引けます。
俺がブログなどのネットでの公開の際して写真選びで気を使うのは4点「顔の判別度合い」「そのブログ(サイト)の趣旨」「写ってる人に迷惑にならない写真かどうか」「公開時期」です。良い写真かどうかはそれより後になります。
1)顔の判別については、目線やモザイクをかけるという手もありますが、それはむしろその写っている人に違う意味を付加してしまう恐れがあるし写真としてあまり美しくないのであまりやりたくありません。なので顔が小さく写っている、ピントが合っていない、ブレている、切れている、暗い、などが条件になります。
2)ブログやサイトの趣旨については、例えばアダルトサイトに載せるのと(載せませんがw)、風景写真サイトに載せるのでは同じ写真でも意味が違ってきますので、それを選んで掲載するいうことです。また、違うサイトに勝手に転載されることにどこまで責任が取れるのかというと実はあまり取れないわけですが、そうなった場合でも違う解釈を与えにくい写真を選ぶしかないですね。
3)写ってる人に迷惑にならないかどうかは本人に聞かなければわかりませんが、例えば「鼻くそをほじっている一瞬」のようなものを面白おかしく載せるような行為は避けますし、偶然写ったプライベートもNGにします。
4)そして公開時期についてです。今は特に気にせずに掲載していますが、例えば「私の不倫現場があなたのブログに掲載されてたからバレた!責任取れ!」などの偶然の要素はありえないわけではありません。「それはブログに載せた俺じゃなくて不倫してたあなたが悪いんでしょ」とは言えるのですが、そういう責任問題は別にしても、余計なもめごとは避けたいので、公開時期を一定期間遅らせるというのも今後は考えたいと思います。そもそもスナップは時間が経って意味が出てくることが多いので(今はなくなったビルとか、当時流行っていたファッションとか)、公開はリアルタイムじゃない方が面白いんですよね。
そんな感じで長々と書きましたが、ここまで理論武装しないと写真は撮れないのが今の状況なので、一度書いておこうと思ったわけです。
なるほど!