突然ですが色鉛筆について語ります

久々の更新なのに唐突にマニアックな話題で恐縮ですが、今日は色鉛筆の話です。
※2019注:人気記事のため読みにくい箇所を一部修正しました

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実験内容

そしてさらに唐突ですが、実験をやります。油性色鉛筆(普通の色鉛筆のことです)は、水彩色鉛筆と違って水筆でボカすことはできませんが、溶剤を使うことでボカすことができます。それが実際どんな感じにボケる(溶ける)のか。それが今回の実験内容です。

試した色鉛筆は以下の5つ。

・色辞典(トンボ鉛筆)
・ポリクロモス(ファーバーカステル)
・パブロ(カランダッシュ)
・アーティスト(ホルベイン)
・ダーマトグラフ(三菱鉛筆)

試した溶剤は以下の2つ。

・メルツペン(ホルベイン)
・ペトロール(クサカベ)

実験結果

では早速結果を見てみましょう(クリックで拡大します)。
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メルツペン vs ペトロール

メルツペンは今日初めて使ってみたのですが、水性で臭いもなく、速乾性でとても使いやすいです。ペトロールは乾燥に時間がかかる上、ほんのわずかに黄ばみます(乾くまではかなり黄色いですが完全に乾燥するとほとんど気にならない程度)。メルツペンはペトロールに比べて伸びが悪いように見えますが、これはフェルトペンと筆の違いだと思います。メルツ液を筆で使用すればもっと伸びるでしょう。また、この比較ではあまり良くわかりませんが、メルツペンは吸い付くように簡単に溶けていきますが、ペトロールは表面だけ溶け出るような印象で、水彩色鉛筆のように原型をとどめなくなるほどにドロドロになる感じではありません。

ちなみに通常色鉛筆の溶剤として良く話に出てくるのはテレピンですが、今回テレピンでなくペトロールを使用したのは単に「うちの油彩道具箱にあったのがたまたまペトロールだったから」というだけのことです。もしかするとテレピンとペトロールでも違いがあるのかもしれないので、機会があったら追試してみます。

では色鉛筆の銘柄ごとに詳しく見ていきましょう。

メルツペンの結果

ホルベインの製品ですが他のメーカーの色鉛筆でも使えるという評判どおり、今回の結果を見てもなかなか良好です。ただしダーマトグラフはほとんど溶けませんでした。この色鉛筆の順は硬度順になっており、下に行くほど油っぽいのできれいに溶けると思っていたのですが予想外でした。メルツペンの成分は不明ですが、三菱ダーマトグラフとの相性は良くないようです。そういえばユニカラーもあまり溶けないという情報をどこかで聞いたような気がします。これも機会があったら追試してみようと思います。

ペトロールの結果

こちらは軟質な色鉛筆ほど溶けるという想像どおりの結果となりました。今回はチャート形式なのでかえってわかりにくいところではありますが、おそらく実際に絵を描く時に水彩色鉛筆のように思ったように溶けるのはホルベインとダーマトグラフだけではないでしょうか。

結論

というわけで、色鉛筆を溶かして描くなら(現時点での実験結果としては)、メルツペンでもペトロールでもドロドロに溶けまくるホルベインアーティストが最強、という結果になりました。もちろんプリズマとかペリシアのような今回試していない他の軟調色鉛筆もあるし、テレピンだったら違う結果になるかもしれないので、あくまでうちにある画材での結果であることは強調しておかなければなりません。

余談、というかここからが本題

ところで、なぜ今回これをブログに載せたのか、という点について触れておかなければなりません。

元々は「色鉛筆はテレピンで溶ける、ってよく言うけど実際どんな感じなんだろう?」と思ってググっていたのが最初のきっかけです。たとえば「ペリシア テレピン」でググるとこんな感じです。最初はオフィシャルサイト、その後2chの色鉛筆スレなどがつづきます。問題はその後で、どこまで行っても実際の使用例は出てきません。ショップはともかく個人ブログに至ってさえ、ひたすら「テレピン油や調合溶き油に溶ける性質がある」という公式解説のコピペがつづくだけです。

なんなんだインターネット。知識を共有財産にする夢のハイパーメディアだったんじゃないのか?「テレピン油や調合溶き油に溶ける性質がある」っていう解説は公式へのハイパーリンクがあれば十分だぞ。おまえのブログに公式の解説なんて転載してなくて良いぞ。おまえのブログにはおまえの使用感などを書いてほしいんだぞ。それが「共有財産インターネット」の活用法ってもんだろ?

というわけです。なんでこうなってるかは簡単。アフィリエイト目的のブログが大量にあるからです。このブログの人たちは実際には色鉛筆なんかには興味ないしそもそもテレピンが何なのかも知らないでしょう。興味あり気に書いてるブログでさえ、最後に一言「欲しいなぁ」って「おいおいユーザじゃないんかよ!」というオチが待ってます。アフィリエイトがネットの検索精度を落としてる。情報の視界が悪くなってる。まったくけしからんことだ。

そういうわけで、僕がみんなが欲しがってる情報をブログに載せよう、というわけでこのエントリーに至ったわけです。できれば今後も画材情報とかは自分の感想や実験結果を元に書いていきたいと思います。僕はカタログや公式サイトの情報のコピペではなく、僕が一次ソースとなって情報を発信するブログであることにこだわる。僕は実際にユーザなんだ。上の色鉛筆だって赤だけ買って試したわけじゃなくてそれぞれ40色以上、しかもバラで好きな色を厳選して持ってるんだぜw だから僕のブログがアフィリエイト目的のゴミのようなブログよりも上位に来ることを願う。僕の情報の方がはるかに有益なんだから。

色鉛筆紹介

…というわけで、ここからは今回使った製品をレビューします。購入したい方はクリック(笑)。

※洒落でアフィリエイトになってますが、わざわざ踏まなくて良いですよ。これで儲ける気はないですw

メルツ / メルツペン(ホルベイン)


今回使ったのはペンタイプ。買ったばかりなのでまだ使い勝手はよくわからないんですが、恐らくペンタイプよりも、液を筆で塗った方が思ったとおりの出来になるんじゃないかと思います。

ペトロール(クサカベ)

油彩用の画用液(油)。画用液には不揮発性の乾性油と揮発油というのがあって、乾性油というのは蒸発せずに固まる油でベトベトしていて黄色い。揮発油というのは蒸発する油でサラサラしていてほぼ透明。サラダ油と灯油だと考えるとだいたい近い感じのイメージに辿り付くと思います。

で、ペトロールは揮発油で、本来は油絵の具を伸ばして塗りやすくするための潤滑剤として使われるもの。これを色鉛筆を溶かすのに流用しようというのが今回の実験の趣旨。同様の画用液としてテレピンがあって、ネット上で検索してみたところでは、色鉛筆を溶かす用途ではテレピンの方がメジャーな気がします。前述の通り僕が油彩で使ってるのがテレピンでなくペトロールなので、今回はペトロールでやってみました。

クサカベのものを使用していますが、他社製を使ったことがないので使い勝手は比較できません。ちなみに油彩ではリンシードオイル(こちらもクサカベ)という乾性油と併用しています。ちなみに色鉛筆に乾性油を使ったらどうなるかは試してませんが、溶けたとしても紙がベトベトになって使えなくなるのはあきらかなので、よほど変なものを目指さない限りやらない方が良いと思います。

ついでに言うと油彩は近年ほぼやってません。

色辞典(トンボ鉛筆)

大学生くらいの頃に第一集が出たんじゃなかったかな? その時に買って最終的には第三集まで買い揃えたので全90色が手元にあります。硬めの色鉛筆なので減りは少なくて、今だに買い足しはしていない。良く使う色はさすがにだいぶ短くなった。色数が多くてそこそこまともな品質の色鉛筆としては何より安いのがありがたいです。

色が独特なのが売りで、他社の色鉛筆をセットで持っていてもこの色辞典とカブることはほとんどない。とはいえ、なぜかトンボには学童用以外にはこの色辞典しかないので、この90色に実用的な色がきちんと網羅されている。これだけしか持ってないとしても何も問題ないと言えるだけの色があります。僕が90色中不要だと感じているのは蛍光色10色くらい。他の色鉛筆を持っていなくてとりあえず欲しい、って人は第一集だけで良いと思います。

前述のように硬い色鉛筆で、この点がユーザには不評なようです。僕の第一印象もやはりそうでした。ただ、実際には学童用や安価な色鉛筆ほど硬いわけではないし、色によって硬さがかなり違っていてビビッド系はポリクロモスなんかとそんなに変わらないし、蛍光色はむしろやわらかい。パステルカラーのような淡色系は明らかに硬いですが、それ以外はポリクロモスと併用していてもそれほど気にならないレベルだということに最近気付きました。

意識してるのかどうかわかりませんが、三菱ユニカラー100色と相互補完関係にあると思います。硬さは近いし色もカブらない。僕はユニカラーは持ってませんが、硬質色鉛筆派の人ならこれらを両方買って190色という使い方はありだと思う。何より安い。

ポリクロモス(ファーバーカステル)

泣く子も黙るポリクロモス。まともな色鉛筆が欲しくてそこそこ予算があるけど何買ったらいいかわからん、って人はまずこれを買えば失敗しない、と言われています。実際僕もそう思います。デファクトスタンダードと言ってもいい。色鉛筆を語る時にはたとえば「色辞典はポリクロモスよりも硬いよー」のように比較対象になってます。色数は全部で120色あるが淡色系が少ないのが用途によってはネックかもしれません。

一本300円前後するので国産よりはだいぶ高いですが、一回買えば長く保ちますし。ちなみに硬さはアーティスト用としては硬い方だと思います。色辞典やユニカラーよりは柔らかい。隠蔽力はそんなに高くはないので、黒い紙に描いたりするとだいぶ発色が弱くなります。

ちなみに僕は一般的には長い物に巻かれるのをイヤがる性格ですが、色鉛筆に関しては今のところポリクロモスを中心にしています。36色セットに足りない色を足して今のところ50色くらい。これと色辞典で欲しい色がだいたい揃っています。

パブロ(カランダッシュ)

実は僕が他の人に一番オススメしたいのはこのパブロ。硬さはポリクロモスよりやや柔らかく、ホルベインよりもだいぶ硬い。僕の中ではベストな硬さ。隠蔽力もそこそこあり、黒い紙に書いた時にもわりと映える。色のラインナップはポリクロモスと同じ120色ですがポリクロモスよりバランスが良いし、色名や品番が素人にもわかりやすい。じゃあなぜこれをメインにしてないのか、というと、知ったのが遅かったから(笑)。 カランダッシュには水彩色鉛筆のイメージがあって、油性色鉛筆を選ぶ時には候補に入れてませんでした。

絵への影響は全くないのでどうでもいいことですが、塗装などの品質はポリクロモスや国産よりも劣ります(もっと酷いプリズマカラーに比べたら全然良いレベル)。僕が持ってるのでも塗装のヒビ割れや文字のインクかすれなどがある。水彩色鉛筆のスプラカラーはそんなことないのに。あと、僕が持ってる中ではこれだけが六角型ですが、個人的には丸型が好きなのでこの点だけは残念。

ポリクロモスとの色カブりはわりと少ない印象で、色辞典+ユニカラーの硬質コンビ190色に対して、ポリクロモス+パブロの中硬質コンビ240色というのもありかもしれない(値段はすごいことになる)。僕が持っているのは30色セットに買い足しで40色強。まだこれから使い込むところなので増えると思います。

アーティスト色鉛筆(ホルベイン)

ホルベインは凄い。すべての画材に対して海外製品とタメを張れる唯一の国内メーカーだ。大抵の画材では国産で極めようとすれば必然的にホルベインに行き着く。色鉛筆では鉛筆メーカー(トンボや三菱鉛筆)に比べて後発でしたが、高品質でヨーロッパ製品に負けない仕上がりとなっています。が、国産にしては高い。

とても柔らかい色鉛筆で、書き味だけじゃなく紙の上に描かれた様子を見てもポリクロモスや色辞典などとは全く違います。誤解を恐れずに言えばクレヨンに近い。隠蔽力が高いので黒い紙でも白い紙でもほぼ同じ発色で描けます。ただしその分薄塗りや重ね塗りでの混色が難しい。普通に「色鉛筆」と想像した時の書き味ではないので初心者向けではないと思います。

色は150色あり、特に色辞典と並んで淡色が豊富。ただ、透明度が高い上ワックスでテカテカになりやすい色辞典の淡色にくらべて、ホルベインアーティストの淡色は隠蔽力がありコッテリしています。この両者の用途は全く違うと考えた方がいいと思います。僕が持っているのは24色セットに淡色を足して40色程度。今のところ描かれた上からさらにコッテリ描きたい時のみに使用していますが、今回の実験でテレピンによく溶けることがわかったので、新しい用法を編み出して活躍させることになるかもしれません。

油性ダーマトグラフ(三菱鉛筆)

ダーマトグラフでわかる人がどのくらいいるのかわかりませんが、木ではなく紙が巻いてある色鉛筆。糸を引っ張ると紙が剥れて芯が出てきます。絵画用としてよりは文房具として使われているもの。全12色。

このダーマトグラフが唯一無二なのは、とにかく何にでも書けるという点。ガラスにでも金属にでも書けるくらいだから、絵の具で描いた上や色鉛筆で描いた上でもなんなんく書けます。この特性を利用して、最後の仕上げに画竜点睛的に使ったりすることもできるし、最後の最後で全てを台無しにしたりもできる。

たった12色しかないのでこれだけで色鉛筆画を描くのはかなり難しいと思いますが、今回の実験でペトロールによく溶けることがわかったので、混色でいろんな絵が描けるような気がしてきました。いろいろ試してみよう。

今のところ僕に説明できる情報は以上です。水彩色鉛筆についてはまた別の機会に。

カテゴリ: アート/お絵描き 日付:
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2 thoughts on “突然ですが色鉛筆について語ります

  1. みゅう

    はじめまして。ホルベインのメルツについて調べていたらこちらのページに辿り着きました。とても興味深い記事だったので、私のブログにリンクを貼らせてただきたいなぁと思いコメントを残させていただきました。私も色鉛筆も大好きで(といっても、集めることが好きという状態になりつつありますが。。。)いろいろ遊んでみています。のちほどフェイスブックの方にも遊びに行ってみますね。素敵な記事をありがとうございました。

    返信
    1. wakimoto 投稿作成者

      コメントありがとうございます! 色鉛筆楽しいですよね!

      ブログ拝見しました。いろんな画材のことが書かれていて勉強になります!海外にお住まいなんですか?
      たまに覗きに行きますねー。

      リンクはご自由にどうそ。

      返信

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