前回は溶剤による溶け具合をテーマにテストしましたが、今回のテーマは隠蔽力。黒画用紙にいろんな色鉛筆で描いてみました。
今回使用した画用紙は、100円ショップ「キャンドゥ」の8枚100円のB4黒画用紙を4つに切ったもの。なんと1枚3円というハイコストパフォーマンス。
まずは何かよくわからない星雲っぽいものを描いてテスト。
では、隠蔽力の高い順に解説。
ダーマトグラフ(三菱鉛筆)
さすがに隠蔽力は高く、断トツで明るい発色。ただし、拡大してみるとわかりますが、ネバりが強いため重ねて塗り込むと汚くなります。やはりこういうグラデーション塗りのような用途には厳しい色鉛筆ですね。
アーティスト色鉛筆(ホルベイン)
ダーマトグラフに負けないくらいの隠蔽力です。中心部にはソフトホワイトを使いました。通常のホワイトであればここまでクッキリとはなりませんが、それでも他の色鉛筆とは比べものにならない隠蔽力があります。描いててとても気持ちいいです。ただし、紙だけでなく下の塗りも隠蔽してしまうので色の深みを出すのは苦手な感じがします。
スプラカラー(カランダッシュ)
水彩色鉛筆なので、前回の溶剤テストには出てきませんでしたが、パブロと全く同じ色のラインナップを持つ水彩色鉛筆です(たぶんこっちが本家でパブロがその油性版だと思います)。この実験ではパブロよりも濃く見えるという結果になっていますが、定着力がないのか紙の繊維に沿ってムラが出ています。良い紙を使えば違ってくるかもしれませんが、なめらかさという観点からはあまり美しくありません。
パブロ(カランダッシュ)
今回一番描きやすかったのがこのパブロです。ホルベインほどではありませんが適度な隠蔽力があり、重ね塗りでどんどん色が乗っていきます。しかもホルベインと違って下の色がやや残る傾向にあるため、掛け合さって複雑な色になりグラデーションがとても美しいです。
色辞典(トンボ鉛筆) / ポリクロモス(ファーバーカステル)
上の写真で見るとパブロとあまり変わらないように見えるかもしれませんが、この2つはとても隠蔽力が弱いです。実際他の2倍ほどの筆圧で塗り込んでみた結果がこれなのですが、どんなに塗っても色が乗らず、やりすぎるとむしろ色が消えて行くような印象です。暗い方のグラデーションは良いですが、明るい方に進まない。ハイライトが描けない。白い紙に描くための色鉛筆と割り切った方がいいでしょう。
…というわけで、黒画用紙に自由に描ける色鉛筆はホルベインアーティストとパブロ、という結果となりました。
試しにパブロで夜の海っぽい何かを描いてみました。ここには載せてませんが、ポリクロモスでも同じようなものを描いてみましたが、悲惨でしたw
次にホルベインアーティストで風景画を描いてみました。まるでオイルパステルのように堂々と描くことができますが、その分色の深みが出にくいです。
「黒画用紙に描く」というのは前々からやりたいと思っていたのですが、やってみたらやはり面白い。脳がいつもと違う動きをするので刺激になります。なお、ポリクロモスや色辞典も明部にパブロやホルベインを併用すれば使えなくはないと思います。