僕の写真遍歴5 – 仕事として撮るということ

最初に言っておきますが、僕は写真を撮ることを職業としたことは一度もありません。しかしそのことは仕事で写真を撮ったことが一度もない、ということは意味しません。

渋谷スナップ
2009/01/24 渋谷
PENTAX SuperA | smc-M50/1.7 | FUJIFILM Superia X-TRA 400

※写真と文は関係ありません。


さて、前回どこまで書いたか忘れましたが、大学生のころの話ですね。僕は熊本の大学に在学していたのですが、その後卒業しないまま上京し、NGOピースボートの職員になります。 ピースボートってのはまぁネットでは赤軍だの社民党だのなんだのと書かれていることもありますが正直まったくそういうのとは関係ないんですが、まぁその話はおいといて・・・・。

ある時、ピースボートが初めてケニアに行くことになり、その先遣隊として僕を含め数名がケニアに行くことになりました。たしか1993年のことです。先遣隊にはたくさんのミッションがあるわけですが、まず、これまでに行ったことがない場所なので写真がない。写真がないと説明会やパンフレットなどで「ここに行きますよ!」という説明ができない、というわけでケニアの写真を撮ってくる、というのが僕のかなり大きな役割となったのです。

そこに持っていったのが大学時代に購入した前述のEOS10QD。宝の持ち腐れのまま数年放置していましたが、いよいよこれの出番となります。標準ズームと望遠ズーム、リバーサルフィルム20本、それに予備バッテリーを握りしめアフリカはナイロビに向かいます。

ナイロビの街並みなども多少は撮影したのですが、そういうものはあまり必要ありません。与えられた撮影ミッションは以下のとおり。

・アフリカゾウ(ケニアにはインドゾウはいませんので念のためw)
・キリン
・シマウマ
・できればライオン
・キリマンジャロ山

というわけでレンタカーを借りてツァボ国立公園へ。ところが、ケニアを知ってる人にはわかると思うのですが、素人がレンタカーで国立公園を走り回っても、なかなか動物にめぐり合えるものではありません。通常はものすごい視力を持ったプロの現地ガイドが専用のジープで案内するものなのです。当時はまだインターネットもなければ「地球の歩き方」などの情報が少なかったため僕らはよくわかっていなかったのです。若さゆえのあやまちを認めざるを得ません。しかも撮影担当の僕がハンドルを握っているという意味不明な展開。車はすぐにエンストするし、一人はケガをして病院にいくことになるし散々な旅となるのですが、その辺のエピソードは本題とズレるので省略します。とにかく国立公園を走り回って目的の写真を撮ることになるわけです。結果から言うとライオン以外の写真は無事撮れました。ライオンはついに見ることができず。まぁツァボは草食系中心の国立公園ですから仕方ないんですが。

日本に帰ってからはすぐに現像し、使えそうな写真を自分で選んでマウントしていきました。写真の仕上がりは当時の僕のレベルからすれば非常に満足で、露出はほぼ適正だし、チャンスもちゃんと捉えてる。10本程度のフィルムの中から20枚くらい使えそうな写真をマウントしました。

それまでにポジの撮影は何度かやったことはありましたが、印刷原稿に使ったり映写したりするために撮ったことは一度もなかったので、かなりの不安はありました。今回の撮影は仕事だから失敗できない、と考え、出発前に練習のために数本撮ってから、撮影に当たってルールを決めました。それは

EOS10QDのオートを信じる

ということです。露出モードはP(ストロボ手動のプログラムAE)のみ、シフトダイアルで絞りとシャッタースピードの組み合わせを決定、露出補正はナシ。露出制御はAEロックで対応。フォーカスポイントは中央1点に固定し、これもロックで対応。

結果的にはこの選択が成功でした。

今になっていろいろ調べてみると、このEOS10QDのAEの露出のクセはややアンダーよりというかオーバーしにくい特性があるようで、ポジにはかなり向いている、という話がどっかにあがってました。偶然といえば偶然なのですが、やはりこのカメラに大学の近くの質屋で出会い、衝動買いしたのは正解だったのだろうと今でも思います。

このときの写真はピースボートの写真ライブラリに保管され、いくつもデュープされ、その後数年間は使われていたと思います。今はもうどこにあるやら。

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