[シリーズ] K-7担いでヒルクライム 4 of 8
9月初旬、今となっては昔のことですが
ひさびさにK-7担いでヒルクラしてきました。
PENTAX K-7 | TAMRON 28-75mm/F2.8 (A09) | トリミング&レタッチ |
金峰山。熊本市の西のはずれにある標高665mの山。
健脚老人が日課として登り、若者は深夜ドライブで夜景を見に登り、そしてチャリダーはトレーニングとして登る、熊本市民なら誰でも知ってる憩いの場。山頂にTVの電波塔があり、北九州市で言うと皿倉山、宮崎でいうと鰐塚山、東京で言うと東京タワーみたいな山だ。夏目漱石「草枕」の舞台でもある。
そして俺にとってはヒルクライムデビューの山だ。
この金峰山には小学生のころから徒歩では何度ともなく登ったが、自転車で登ったのは一度きり。中学生の頃だった。
ブリジストンだったかカガワ(熊本のローカル自転車ブランド)だったか覚えてないが、当時小学生に人気だった5段変速セミドロップの黒くて重いハイテンの自転車に乗っていた。中学時代には急激に背が伸びたのでその自転車はすでに小さかったが、長洲、菊池、天草などとにかく県内のあちこちをそいつで走った。
そんなある日、友人ら6~7人と金峰山に登った。ほかのメンバーは競輪フレームか何かで組んだクロモリのカスタムバイクや当時流行のロードマンなどそれなりに登坂性能の高いチャリに乗っていたが、俺のこいつだけはママチャリ級に重い。ほぼ中間ポイントにあたる峠の茶屋までが無限の距離に感じられた。中盤以降は蛇行しないと登れず、峠の茶屋に着いた時にはもう力尽きていた。
しかし子供のころの行動というのは意味不明で、後半は車道ではなくなぜかさるすべりと呼ばれる登山用の岩道ルート(平均勾配52.8%)を自転車を担いで登った。終盤は今考えるとよくそんなことができたものだ。ちなみに今のさるすべりは平坦で安全で登りやすいが当時は終盤は100%近いロッククライム状態になっていた。
そんなこんなで一日がかりで登った金峰山。いつかまた自転車で登りたい、と思っていたがいよいよその日が来た。あれから25年。え?そんなに経ってたの??
前置きが長くなりましたが、早速スタート。
※写真は下山時に撮影したものです。
GARMIN Edge705の計測開始ポイントは本妙寺下の登山道分岐。
分岐点では本妙寺側が登りで金峰山側は平坦だが、すぐに登りに転じる。子供の頃に感じたような傾斜は感じられず、4%くらいの緩坂をサクサクと登って行く。
東京に来てからは奥多摩でも十分「田舎」だと感じていたし「自然」だと感じていたが、やはり九州のレベルは違う。車の少なさも、周囲の静けさも、セミのうるささも比べるべくもない。それでもここは決して田舎ではない。阿蘇や天草や五家荘とは違い、熊本市内にそびえる「都会」の山なのだ。
結局はその土地その文化の中での基準で物事を考えないとおかしなことになる。東京に住んでいる時には奥多摩が大自然だと感じるというのはそれはそれでいいのだ。しかし、そうでない世界を知っていながら、その狭い世界の中だけに滞っているのもなんかしっくりこない。どこに住んでもそれなりに「良い」と思えるようになりたいけれど、すでにグローバルに生きすぎてしまっているのだ。山路を登りながら、そう考えた。
そしてなんともあっけなく、峠の茶屋が見えてきた。子供のころ峠の茶屋と言えば、一ノ岳への登山道に向う角にある店のことだった。しかしこれは便宜上呼んでいただけで、漱石の言う「峠の茶屋」ではない。その後観光用に古めかしいいかにもな「峠の茶屋」が作られたが、これももちろん違う。漱石の「峠の茶屋」のあった場所には碑だけが立っており、今はもう茶屋は残っていない(今回は立ち寄らなかった)。
峠の茶屋の角を曲ったのが20分00秒。キリのいいタイムだ。しかしペースを間違っていたようだ。子供の頃の感覚で「峠の茶屋はもっと遠い」と思ってセーブしていた。次回は18分くらいで登れるだろうか。峠の茶屋の角を曲ると平坦な直線に入る。ここで一時速度を上げるがすぐに急勾配になる。10%前後が山頂までつづく。正確にはさるすべり入口までが10%弱、それ以降が8~9%ぐらいだ。10%区間はインナーローかその一つ上でゆっくり進む。
さるすべり入口を過ぎると若干緩くなるはずだが、ここでギアを変えることができずついついそのままのペースで登ってしまう。STIなら変えたと思うが、Wレバーは登坂中は変速するだけで体力を消耗してしまうのが辛い。
終盤になんとか変速して加速するがすぐに駐車場に到着。そこからはコンクリートの歩道をゴリゴリ登る。
NHKテレビ塔下の車庫がゴール。48分52秒。
初めてなので速いも遅いもないが、次登ることがあればこれが基準ってことだ。ペース配分はだいたいつかめたと思うので、次はおそらく45分くらいでは行けるはず。
前回は徒歩で6~7年前に登ったと思っていたが、よく考えたらその時は漱石ルートで歩いたため山頂には来ていなかった。ということは、ここは何年ぶりなんだろう?
九州の9月は真夏。道は日陰が多いため走りやすかったが、山頂に着いた途端に汗が吹き出る。売店でアイスでも買おう。
「すみませーん」と声を掛けたが返事がない。軒下から奥をのぞいても誰も見当たらない。冷凍庫にはぎっしりと氷菓がつまっている。「アイス130円」と書いてあるので130円を置いてかき氷のパック(こういうの東京では見ないなぁ)を1つ取る。あとで店員を見つけたら確認しよう。
木陰で休憩していると、さるすべりを徒歩で登ってきたと思われる男性が話しかけてきた。
「私も以前は乗ってたんですよ。よく登ってました。」
年はちょっと上くらいで、スポーツマン体型だったけど、腹が出てきて乗らなくなったとか。それならなおさら乗ったほうがいいんじゃないかとツッコもうと思ったが、なんとなくやめた。パンターニのファンだったらしく、彼にあこがれてヒルクライムが好きになり何度もここに登りに来ていたらしい。
自販機でスポーツドリンクを買ってボトルにうつしていたら、売店のおばさんがあらわれた。かき氷は80円だということで、50円返してもらった。
さて、ここからはダウンヒル。木陰がつづき、車はいない。こんな快適なダウンヒルは経験がない、というくらいの理想的な条件で走ることができた。
さるすべり入口の駐車場にはさっきのパンターニファンの男性がいた。ここまでは車で来ていたようだ。目があったので軽く会釈してそのまま下った。
あっという間に本妙寺まで降りた。ついでに加藤清正に挨拶。
金峰山は休憩を含めても登って降りて1時間半程度というヒルクライムの朝練に丁度いいところだということがわかった。惜しむらくは俺は今熊本に住んでない。
いやどうせ熊本に住んでいれば、きっと奥多摩やヤビツや富士でのヒルクライムに憧れるのだろうから同じことだ。熊本にいるときは金峰山や阿蘇に登り、東京にいるときは奥多摩や奥武蔵を駆け抜ける。それだけのことだ。
こんばんわ!ピースボートでは、びっくり!!まさか会えるとは!!わっき~が相変わらず、クールガイな雰囲気でかっこよかったです!!(笑)熊本が実家なんだね!最近の驚いたショックなニュースは、クレヨンシンチャンの作者が、なくなってしまったことです!!クレヨンシンチャンファンとしては、悲しい限りです!!
ほんと厦門ではビックリしたね。
そう、熊本が実家です。
臼井氏は残念です。山登りには注意。