[シリーズ] クリパシで行く62回ピースボートの思い出し日記 8 of 22
アカバです。ここは初めて来ました。
着岸後一仕事終えて時間ができたのでふらっと出かけました。ここの見どころは遠出してペトラ遺跡やワディラム、死海などの名所を巡るのが多分定番だと思います。が、そんなに時間もないし、気軽にぷらぷらしたかったので港からアカバ市内の2~3km程度の範囲の散策です。・・・の割には今回は写真も文も分量が多いです。かなり満喫したので。
この日は晴天で日差しも強く気温もかなり暑かったのですが、帽子も持ってないしもちろん日焼け対策とかしてるわけもなく、がんがんに日差しを浴びてしまいました。が、それを後悔するのは夜以降のことでこの時点ではとくに気にすることもありませんでした。
街に出てもどうせやることもないので、メインストリートを離れ海に出ました。
PENTAX LX | FA43mm/F1.9 | RDP III
こうやってみると暑さで集中力がなくなっているせいか、どれもこれも写真がナナメってますね。
ヨルダンは初めてですが、アラブの国には結構あちこち行ったことがあります。ここに来て感じたのはアラブ人特有の(偏見も混じっているとは思いますが)商売っ気とかしつこさのようなものをヨルダンの人からはあまり感じません。ナチュラルというかなんというかまぁ普通のフレンドリーな人たちで、身構えていると肩透かしを喰らってしまいます。たとえば「写真撮って!」と子供が寄ってきて写真を撮ると「モデル代よこせ」とか、そうでなくともデジカメ時代になってからは「見せろ見せろ」なんていうことが最近はよくあるわけですが、ここではそういうことがありませんでした。
PENTAX LX | FA43mm/F1.9 | RDP III
「ねぇねぇ、写真撮って!」
「カシャ」
「ありがとー!バイバイ」
このあたりには多数のボートが停泊していました。個人用のボートもあれば、観光用に乗せるものもあるようです。
カラフルな感じでいい景色だったのでここでスケッチブックを開き鉛筆で数枚スケッチしました。そのうちの一枚に絵の具で色を塗っていると、先ほどから近くで水浴びしていた3~4才くらいの少年がトコトコとやってきて絵を描く様子を後ろからのぞき込んでいました。
やがて彼はいろんなことを聞いてきます。
「これがあのボート?」
「これがあれ?」
(実際にはアラビア語なのでよく分かりませんが)
「うん、そうだよ。」
などと適当に答えていると、絵の中のあるコンクリートの出っ張りを指差し、そのあと走り出しました。意味が分からないのでそのまま絵を描きつづけていると、後ろからその子のお父さんと思われるおじさんが声をかけてきて来ました。
「あの子をこの絵に描き加えてくれ。」
「え?」と前を見てみると、なんと先ほど指さしたコンクリートの出っ張りの上にその少年が立っていました。自分から絵の中に飛び込んだわけです。
写真なら撮ってる最中に入り込んでいる子供というのは珍しくありませんが、まさか絵の中に入ってくるとは・・・。
透明水彩は途中修正が困難なのですが、「ここは絵の出来よりはコミュニケーションだな」ということで絵の完成はあきらめ、描きかけの絵の中にむりやりその子供を描き加えました。非常にひどい出来にも関わらず、
「おお、グッドグッド。」
とおじさんは満足気。少年もニヤッとしていました。そして
「何か飲まないか? おごるよ。」
とすぐ近くの店に呼ばれコーラをご馳走になりました。こんないい加減な絵でおごってもらうのも悪いので、もう一枚、その子供を近くで大きく描きなおして渡しました。
「おー、ありがとう。」
そのときの絵は渡してしまったので手元には残っていないのですが、その時の情景を思い出しながら昨日再び描いてみました。まぁぜんぜん違う絵になってしまってるんですが。でもこの絵の方が多分その子に似てます。体つきは完全に幼児体型なのに顔は日本人の子供と違って彫りが深く、表情も大人びていたのが印象的でした。
親子(本当に親子だったんだろうか)は先に店を出、僕はその後残りのコーラをすすりながら数枚の写真を撮ったあと、店主にあいさつしてボート乗り場を離れました。
そういうわけで、アカバ編2につづく。